正倉院宝物筆18本の筆の毛質の解明を平成21年から開始されました。18本を見ていまして、中倉37筆第10号、この筆は自然の軸に筆鋒が管込みされていまして、飾りもなく実用に使われていたように思われました。1300年も経た歴史を感じない、現在もつかわれているように、感動しまして、現在ある材料で造りました。
筆鋒の毛質は中国産の兎毛、兎毛の中の紫毫の上質、和紙は鳥取市青谷産、竹は古い斑文竹がないので、古い煤竹を使いました。
筆鋒の構造は三営成筆の巻筆である。第1営(芯毛)、精選した紫毫を3mm、糸で巻き縛りとめ、穂先6~7mmの下から和紙を強く螺旋状に巻く。筆鋒の形を考慮して巻く。第2営は命毛より下に和紙の上に兎毛の紫毫をきれいに平目にして第1営に巻く。そして、巻いた紫毫の上から和紙を螺旋状に巻く。
第3営(化粧毛)をきれいに平目して丁寧に巻く。最後に筆鋒の根元を糸で縛り、逆軸を削って、管込する。未接着。筆鋒は筆鋒の形を糊で整える。