筆・熊野に対する想い

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日本では毛筆で書写することは奈良時代から行われています。

毛筆は同じ筆で、使い方によって、大きな文字もかけるし、細く小さい文字も書ける。
文字の基本点画を、正しく整えて読みやすく書くことも出来ます。
毛筆を生活の中で使うことによって、文字を丁寧に書く習慣を大切にしていくことができます。
また、毛筆は、線の大小の調子、独特のトメ・ハネなどのリズムを生み出して、自分を演出し、自己表現を楽しむことが可能です。
このような毛筆の特徴を楽しんで体感していただいて、筆を好きになって頂きたいと思います。1

その中でも、熊野は、日本一の筆の産地。最近は、高級化粧筆でも世界的に有名になっています。
私は、そんな熊野で生まれ育ち、筆の製造販売を生業として参りました。
最近では、中国の安価な筆が市場にあふれるようになりました。筆を道具として使う消費者の方も少なくなっています。
しかし、熊野には、日本人の求める、世界の毛筆を使う方々のニーズにあう製品を作る生産者のネットワークがあります。
筆に関する文化・情報として発信できるコンテンツがあります。それらをもっとわかりやすく、皆様に広く伝えていくことで、熊野筆の良さを知って頂くことが、私の生まれ育った熊野への恩返しとも思っています。