40年前の原毛を使用!しかも、髭羊毛。

羊毛筆の材料のお話を少しします。古来、毛筆が中国から伝わってきました。羊毛筆は文字が大きく使かわれる頃、筆の芯に紙を巻かない作りに なります。水筆になります。筆鋒 の 根元まで捌いて使います。墨を含ませても使えます。日本では近代に入りまして本格的に使われ出したと思われます。

材料となる原毛は中国のヤギです。産地は中国浙江省・江蘇省になります。これを中国からの輸入に頼っています。40年前には一部毛皮付きの羊毛が麻の袋に入って輸入されてきました。IMG_3688原毛

これの原毛を選別します。羊毛捌き毛筆に使用します。それには使える毛と使えない毛に分けて、それぞれの数種類の部位に選別します。

今回は羊毛原毛の中の髭毛について、お話します。羊毛原毛中で髭毛の特徴は毛の丈が短くて、弾力が強い。筆の鋒先の命毛となる透明の細い水毛が少ない。ですから、絵の筆に使われる物が多い。水彩・日本画など(当時)。

毛の良否を選ぶには髭毛は 効率の悪い毛です。命毛が少なく、短くてほとんど捨てるのですが、40年も経過している毛は現在のものには無い特徴があるのです。毛が枯れていまして、魅力ある弾力と味わいのある線質だせるようです。喜んでいただける筆にするために髭毛麻袋から長めの、毛質いいものを手間をかけて選んでいます。

40年前のヤギは中国の自然の状態の農村の環境でヤギが育っています。img533

2,3年飼育のヤギですから、毛につやがあり、弾力があり、黄色み命毛が鋭い。現在のヤギは農村で養殖に近い状態で飼育されて育っています。1年で食肉になっています。その産物産の残りが皮・毛になります。  現在のヤギの髭毛の特徴は毛質は細くて、きれいです。ですが、弾力が弱い。

現在の大部分の羊毫筆は髭毛がない場合、普通白天尾を使います。弾力の代用の毛にはナイロンの人工毛を使用することもあります。

宿浄純羊毫龍玄、芯毛の弾力は40年前の中国のヤギの髭毛を使用しております。材料には限界があります。

kenzo
筆匠 健蔵広島県の瀬戸内海から山間に10Km余り上った盆地にあります。熊野町で筆作りをしています。
熊野筆町で作られている伝統的な工芸品熊野筆は江戸時代からの伝統の技が伝えられています。

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